1. 協議離婚の手引き

1. 協議離婚の手引き

協議離婚の概要

協議離婚とは、夫婦間での話し合いによって離婚 (Dissolution of Marriage) することです。但し、NY州法のもとでは、協議離婚である場合でも、裁判所で離婚裁判を開始し、離婚判決を取得しなければいけません。

協議離婚の申請条件
協議離婚を申請するためには、下記の3つの条件を満たしていなければいけません。

  1. 離婚を申請する資格がある。
  2. 離婚の理由(Grounds)がある。
  3. 裁判所が必要とする事項(離婚、結婚資産・負債分配、親権、養育費、配偶者扶養手当て等)の全てに、夫婦間で合意がある。

協議離婚の手順
上記3つの条件を満たしている場合には、下記の手順に従い協議離婚を申請できます。

  1. 離婚判決の申請に必要な書類一式(Uncontested Divorce Forms Packet)と記入の手引きを入手する。http://www.nycourts.gov/DIVORCE/forms.shtml
  2. インデックス番号(Index Number)を購入し($120)、召喚状(Summons)と訴状(Complaint)を裁判所に提出する。→ 裁判所のデータベースに登録され、正式に離婚裁判が開始されます。
  3. 召喚状、訴状、その他の書類を離婚相手に手渡しする(必要はないが、した方が無難)この手続きは、当事者以外の18歳以上の人に頼む事。
  4. 離婚判決の申請に必要な書類一式(Uncontested Divorce Forms Packet)を作成し、全ての必要書類と $125 を裁判所へ提出する。
  5. 離婚判決が下りたら、裁判所から通知用のポストカード(必要書類の一つ)が届く。

協議離婚の申請条件チェックリスト

チェックリスト1: 離婚申請資格の有無
NY州で離婚を申請する為には、次の3つの申請資格(A~C)のうち、最低一つを満たす必要があります。

A. 配偶者のどちらか一方が、離婚を申請する直前の最低2年間、NY州に住んでいる。

B.  あなたか配偶者のどちらか一方が、離婚申請する直前の最低1年間、NY州に住んでいて、次の条件のうち、最低一つに該当する:
(i) NY州で結婚した、
(ii) 結婚後、NY州で生活した、
(iii) 離婚理由がNY州で発生した。

C.  離婚裁判の開始時に、両者共NY州に居住し、離婚原因がNY州内で発生した。

*協議離婚の申請する際に、必ずしも別居している必要はありません。

 

チェックリスト2: 離婚理由の有無
NY州で離婚する場合、法律が認める離婚理由(Grounds)が必要です。2010年10月12日付で法律が改定され、NY州でも「性格の不一致」を理由に離婚を申請出来る様になりました。

*NY州で認められている離婚申請の理由

A. 遺棄(Abandonment)
次のうち最低一つが、最低1年以上に渡り継続している場合:
(i)  配偶者が家を出て行ったまま帰ってこない。
(ii) 夫婦の営みがない。
(iii) 夫婦としての義務を拒否、もしくは怠っている。(例:会話をしない、一緒に食事をしない等)

B. 虐待(Cruel and Inhuman Treatment)
過去5年以内の家庭内暴力(ドメスティック・バイオレンス)等。

C. 3年以上の服役(Imprisonment)

D. 浮気(Adultery)

E. 別居(Separation Agreement or Decree)
合意書や裁判所命令に従って最低1年別居している場合。最低1年間別居をした後、裁判所へ離婚を申請することになります。

F. 性格の不一致(Irretrievable Breakdown in Relationship)
最低6ヶ月の間、夫婦関係が修復不可能であった場合。

チェックリスト3: 夫婦間での合意の有無
夫婦間で話し合い、離婚 (Dissolution of Marriage)、結婚資産分配 (Equitable Distribution of Marital Property)、親権 (Child Custody)、養育費 (Child Support)、配偶者扶養手当て (Maintenance) 等、全てに合意がある場合には、協議離婚を申請することが出来ます。

この合意が無い場合には協議離婚とはみなされないので、「争議離婚(Contested Divorce)」となり、裁判をする必要があります。その場合、協議離婚のように所定の書類の提出だけでは、離婚判決を取得することは出来ません。但し、離婚裁判が「争議離婚」として始まった場合でも、係争中に当事者間で上記項目で合意に達した場合には、裁判をせずに、書類のみで離婚判決を取得することも可能です。

協議離婚の手順

 手順1: 協議離婚に必要なフォームと記入手引きを入手する

  • 協議離婚に必要なフォームと記入手引き (Uniform Uncontested Divorce Forms Packet)は裁判所が無料で配布しています。裁判所で入手するか、裁判所のホームページからダウンロード(PDFとWordPerfect形式)することも可能です。http://www.nycourts.gov/divorce/forms.shtmlを参照してください。

手順2: 召喚状(Summons)と訴状(Complaint)、もしくは Summons with Notice を作成し、裁判所へ提出する

  • 召喚状と訴状を作成します。裁判所には、原本1部とコピーを2部持参してください。(訴状は、公証人の前でサインをすること)
  • インデックス番号の購入費用($210)と共に、自分か離婚相手が住んでいる郡の裁判所(Supreme Court)の Clerk’s Office へ提出します。(現金、クレジットカード、マネーオーダーでの支払いが可能です。但し、郡によって異なる場合があります。ご確認ください)経済的に$210を支払えない場合は、Poor Person’s Waiverを提出して、支払い免除を「リクエスト」することが出来ます。(必ずしも免除が認められるわけではありません。)
  • 召喚状と訴状のコピーに日付スタンプを押してもらい、インデックス番号が記載されたレシートを受け取ります。
  • 各裁判所の住所と連絡先は、裁判所のウェブサイトをご参照ください。http://www.nycourts.gov/divorce/county_specific_divorce_info.shtml

ここまでの手続きを完了した時点で、離婚裁判の開始手続きは完了です。

手順3: 召喚状(Summons)と訴状(Complaint)、もしくは Summons with Notice を離婚相手に手渡しする。

  • 召喚状と訴状を裁判所に提出してから120日以内に、18歳以上の第三者(例:友人、送達業者)を介して、下記のフォームを離婚相手に手渡ししてもらいます。

A.  召喚状のコピー(インデックス番号と裁判所に提出した日付を記入する)
B.  訴状のコピー(インデックス番号を記入する)
C:  Notice of Automatic Orders(Uniform Uncontested Divorce Formsに含まれています)
D:  Notice Concerning Continuation of Health Care Coverage
E:  Affidavit of Defendant(Uniform Uncontested Divorce Formsの“UD-7”。離婚相手に記入してもらう)
F:  Child Support Standards Chart(21歳以下の子どもがいる場合。Uniform Uncontested Divorce Forms には含まれてはいませんが、https://www.childsupport.ny.gov/child_support_standards.html からダウンロードできます。)

*Summons with Notice を提出した場合には、日付スタンプ付のコピー(インデックス番号と裁判所に提出した日付を記入する。)

手順4:離婚判決の申請に必要な書類一式を作成する

  • Uncontested Divorce Forms Packet の記入手引きに従って、必要なフォームを記入し、全ての必要書類と$125(Calendar Number の購入費)を裁判所へ提出します。
  • NY市以外で離婚する場合、 Notice of Issue に $30、Request for Judicial Intervention に $95 かかります(合計 $125)

注)各郡によって提出方法や提出書類が異なる場合もあるので、書類を提出する前に、各裁判所に確認してください。

手順5:離婚判決がおりるのを待つ

  • 裁判判決がおりたら、通知用のポストカード(Uncontested Divorce Forms Packet の Postcard Sample を参照)が裁判所から届きます。http://www.nycourts.gov/divorce/forms_instructions/postcard.pdf
  • 離婚判決がおりても裁判所は離婚判決書を発送しないので、裁判所へ直接離婚判決の Certified Copy を入手しに行く必要があります。(別途費用がかかります)必ずしも離婚判決書の Certified Copy を手元に保管しておく必要はありませんが、ご自身の記録として手元に最低1部保管することが推奨されています。
  • なお、各郡によって離婚判決がおりるまでの待ち時間が異なりますので、その点ご留意ください。

201010月の法律改定の3大ポイント

1. No Faultでの離婚 (DRL §170(7))
これまで、NY州では「性格の不一致」を理由に離婚を申請することが出来ませんでした。

しかし、今回の法改定で「性格の不一致」が離婚理由として認められたので、どちらかの配偶者に離婚原因の非を負わせることなく、離婚申請を行うことができる様になりました。(詳細は、「チェックリスト2:離婚理由の有無」を参照してください。)

2. 離婚裁判に掛かる弁護士費用の負担軽減(DRL §237 & §238
金銭的に余裕がない配偶者に対しては、相手方から弁護士費用が支払われるべきであるという前提に基づき、裁判が係争中は、適時、弁護士費用が支払われる様に裁判所が保証しなければならなくなりました。(その場合、弁護士費用の請求嘆願書と共に宣誓書を提出しなければいけません)但し、この前提は絶対的なものではなく、支払い要求を申請した側、そして支払い責任を負担する側の両者の答弁を受け、裁判官が支払い金額を決定します。

尚、申請者が自分の弁護士に費用を既に支払っていたとしても、申請者が嘆願条件を満たしている場合には、弁護士費用や経費を裁判所に嘆願することが出来ます。

3. 離婚裁判係争中の配偶者扶養手当の申請(DRL§236(B)(5-A) & §236(B)(6))
2010年10月12日以降に開始された離婚訴訟に対して、一時的な配偶者扶養手当の推定金額の計算方法が定められました。

一時的な配偶者扶養手当の金額を計算する場合、両者の年収を考慮して算出します。そして、両者の年収を比較、考慮したうえで、支払い推定金額と支払い負担者を決定します。

例えば、夫の年収が $50,000、妻の年収が $25,000の場合は、支払い負担者は夫で、推定支払い金額が年間 $5,000となります。

夫の年収が50,000ドル、妻の年収が無い場合は、支払い負担者は夫で、推定支払い金額が年間15,000ドルとなります。

但し、上記金額はあくまでも「推定金額」であり、法律で定められている条件を考慮した上で、裁判所がこの推定金額が不適切であると判断した場合、裁判所はその金額とは異なる金額を一時的配偶者扶養手当として支払う様命令することが出来ます。

 

協議離婚は、それぞれの状況によって異なり、離婚関連の法律や規則は随時変更となりますので、それぞれの離婚ケースについては、法律の専門家のアドバイスに従ってください。

 

参考リンク

裁判所(Supreme Court)のホームページ
http://www.courts.state.ny.us/courts/nyc/supreme/index.shtml

裁判所のサポート・センター
http://www.nycourts.gov/supctmanh/self-represented.htm (Manhattan)

http://www.courts.state.ny.us/courts/2jd/kings/civil/helpcenter.shtml (Brooklyn)

http://www.courts.state.ny.us/courts/12jd/civil/selfrep.shtml (Bronx)

情報提供:岡田法律事務所(2012年2月)&宮本弁護士(2013年6月)

その他離婚についての情報

 


 

                                                      
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