[ 自殺が与える影響 ]
[ なぜ人は自殺をするのか? ]
自殺の事態を引き起こすには様々な事情があります。精神病(とりわけ鬱病と薬物乱用)が9割以上の自殺例と関連している一方で、社会的、経済的、精神的、文化的等の様々な要因が、ジレンマや人生の苦難に終止符を打つ手段は自殺だけだという個人の考えを悪い方向に増強することもあります。
[ 自殺と関連した危険要因とは? ]
個人の幸福が家族の結束や家族から認められることと密接に結びついているアジア系コミュニティーでは、よく家計への援助、学業での成功などの家族への「義務」の遂行ができない事、家族間の不和、愛する者からの排斥などが自殺を引き起こします。家族の重荷になっている、または家族に受け入れられないなどの羞恥心や失敗は、自殺に先立きよく見受けられる強い感情です。
[ 自殺に関する間違った認識 ]
「自殺の話をする人は実際に自殺したりしない」誤解です!
アジア系コミュニティーにおいて、「自分は何の役にも立たない」とか「死んだ方がましだ」などのコメントは、気にしてもらうためのコメントだとよく誤解され、自殺をほのめかすような問題は相手にされない事が多いですが、メンタルヘルスのプロフェッショナルは、自殺した者、また自殺を図ろうとした者のほとんどは端緒を示している、と警告しています。なので、「死にたい」、「自殺したい」などのコメントは、本人がストレス下にある、または自殺を考えている事の現れであり、これらに耳を傾ける事は大変重要になってきます。
「自殺をしようとする人は気がおかしいに違いない」誤解です!
ほとんどの自殺企図者は精神病者や気がふれた人ではありません。アメリカでは、深刻な精神的苦痛で人を苦しめる、衰弱した精神病である「うつ」は自殺企図者の間でとても大きな危険因子と言えます。不幸にも、研究によるとうつはアジア系アメリカ人によく見うけられ、アジア系アメリカ人のうつ病率は白人よりも高くなっています。
「もし本当に自殺する気があるのなら、自殺を防ぐのは不可能だ」誤解です!
深刻なうつ状態の人でさえ、死に関しては、最後まで、死にたいのかそれとも生きていたいのかで揺れ動く混在した感情があります。ほとんどの自殺者は死にたいのではなく、苦痛をとめたいのです。苦難から逃れたいという衝動は、相当強いものでありながらも、長くは続きません。
「自殺をする者は助けを必要としたくない人々である」誤解です!
自殺者の研究は、自殺者の半数以上が自殺までの6ヶ月の間に医者に頼っていることを示しています。アジア系コミュニティーにおいて、多くの移民は言語、文化的な壁の為にメンタルヘルスサービスを是としておらず、サービスに関してもあまり知らない事が多いのですが、研究によると、これらの移民の多くは問題があると、その問題がメンタルヘルスに関する事であってもかかり付けの医者の所へ行くようです。
「自殺の事を話す事で、自殺を助長する事になる?」誤解です!
アジアの文化においては、マイナス思考や負の感情を抑える事が精神的苦痛を和らげる事になると信じられがちです。しかし、これは深刻な精神的苦痛にいる個人にはあてはまりません。自殺企図者に自殺の話をしたからといって、病的な考えを与えたり、余計なストレスを与えたりする事にはなりません。実際は逆で、自殺について率直に話し合うのは大変で不快な事ではありますが、我々ができる最も役立つ事の一つなのです。
[ 自殺の要注意サイン ]
アジア系コミュニティーでは精神的苦痛は、しばしば身体の不調として表れます。例えば頭痛や胸の痛みは悲しみの表れであるといえるし、疲労、疲れは苦痛や失望と関係していると言えます。それ故、繰り返し起こる身体的な不調の裏にある失望や無力感に耳を傾ける事が大切なのです。アジア系メンタルヘルスプロフェッショナルは、多くのアジア系移民が計画性と生産性に重きを置くことをふまえると、計画や仕事に関する活力のなさが、その個人が人生をあきらめてしまっている事の重大な危険信号になりうると言います。
[ できる事 ]
[ すべきではない事 ]
アジア系の文化ではプライバシーの保護が尊重され、暗い感情を露にする事を極端に避け、ジレンマを解決する為の具体的な助言が求められるのが通常なので、上記の提案を実行するのは難しいかもしれません。自殺を考えている人は同時に生きる理由を探していて、自分の苦難を他人に話し、世の中に自分の事を気にかけてくれる人がいると気が付くにつれて、人生を終えたいという欲望は薄れるという事を覚えておいて下さい。アジア系のメンタルヘルスプロフェッショナルによると、文化上信じられている事とは逆に、自殺願望者が他人が自分の話をしっかりと関心をもって聞いてくれていると感じる限りは、通常、精神的苦痛に関して心のうちを話すそうです。
[ 専門家の助けを得るには? ]
資料:以下からの情報をこの資料で使用しています。
American Association of Suicidology (米国自殺学会)
New York Coalition for Asian American Mental Health
Suicide Awareness Voices of Education (SAVE)
The Samaritans
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